【長浜駅 / 夜の散歩】(滋賀県長浜市)静まり返る黒壁スクエアと、遊郭跡に残る古い飲食店街

東近江市から北上してきて滋賀県長浜市。豊臣秀吉ゆかりの城下町。浅井長政攻めの功で北近江を拝領し地名を「今浜」から「長浜」に改めたことで知られる。秀吉公が築いた長浜城は江戸時代前期に廃城。現在の長浜城跡には1983年に犬山城や伏見城をモデルに市民らからの熱心な寄付金と誘致運動によって建てられた復興天守がある。 その長浜城跡からすぐのところにJR北陸本線・長浜駅がある。古くからの街並みが残る長浜の玄関口だが、駅舎自体は2006年に完成した近代的な造りだ。新旧が共存するこの街らしい佇まいに出迎えられる。
駅周辺の様子

駅前通りには街灯や飲食店の明かりが並び、夜でもほどよい活気がある。地方都市の駅前としては整備が行き届いており、安心して歩き出せる明るさだ。

中心部へ向かうと、街灯が少しずつ影を潜めていく。そんな暗がりの中で、「長浜大手門通り商店街」のアーケードだけが、まばゆい光のトンネルのように浮かび上がっていた。この光と影のコントラストが、夜歩きの気分を盛り上げる。

昼間は多くの観光客で溢れかえる「黒壁スクエア」。しかし、夜になると人影は驚くほど絶え、石畳に自分の足音だけが響く。静寂に包まれた黒壁の建物は、昼間よりもずっと凛としていて、街の歴史を静かに語りかけてくるようだ。

明るい商店街から一本横道へ逸れると、そこには深い闇が広がっていた。光が届かない路地の奥には、昼間には見えなかった街の素顔が隠されているような気がして、少しだけ胸が高鳴った。

歩いているときには見落としていた「コーヒー&ピザ」のレトロな看板。写真で見返して、その絶妙なフォントに惹かれた。こうした何気ない発見があるのも、カメラを片手にした散歩の醍醐味だ。

ふと見かけた、街角で談笑する地元の方々。観光地というフィルターが外れた、長浜のありのままの「日常」に触れた気がして、心がじんわりと温かくなった。

さらに歩を進めると、かつての遊郭跡を転用した古い飲食店街に出た。黒壁スクエアの観光地らしい華やかさとは一線を画す、地元の人が使う静かな通りだ。

路地の奥、歴史を重ねた古い家屋に灯る赤提灯。隙間から漏れる笑い声やグラスの音に、旅人としては少し気後れしつつも、その美しさに目を奪われた。夜にしか出会えない景色だと感じた。

「長浜別院大通寺」へと続く表参道。江戸時代から続く門前町の風情が残るこの通りは、夜になると石畳の質感がより強調され、より一層タイムスリップしたかのような錯覚に陥った。

街を彩る大河ドラマ『豊臣兄弟!』の幟。秀吉公が初めて城を持った地として、街全体の盛り上がりが伝わってきた。歴史の主役たちが駆け抜けたこの道を今、自分が歩いていると思うと、感慨深いものがあった。

駅へ戻る途中、何気なく見上げたアーケードの天井。そこには驚くほど精巧な装飾が。見慣れた景色も、視線を変えれば全く違う顔を見せてくれる。夜の散歩は、そんな基本的なことを改めて教えてくれた。

駅近くで見かけた焼き鳥屋の暖簾。漂ってくる香ばしい匂いに、思わず足を止めそうになった。

最後は、長浜駅前のシンボル「アクアツリー」へ。ガラスの街・長浜を象徴するこのモニュメントは、夜の光を受けて幻想的に輝いていた。冷たくも美しい光が、今回の散歩の最後を優しく締めくくってくれた。
長浜駅の周辺を歩いた動画
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